S55Cの焼きならし材 S55CN Normalizing鋼
1．呼び方
| 「S55C」で呼ぶ | ⇒ | S55Cの板は、ほぼS55Cの焼きならし材なので、特定できる。 |
| 「ノルマル材」で呼ぶ | ⇒ | S55CNを取り扱っている材料屋なら理解できる。 |
| 「S55CN」で呼ぶ | ⇒ | 「Nは、何？」と聞かれる場合もある。 |
| 「S55Cノルマル材」で呼ぶ | ⇒ | S55CNを取り扱っている材料屋なら理解できる。 |
2．ノルマル材とは、何？
焼ならしは鋼にとっては無理やり軟らかくした状態、
焼入れは無理やり硬くした状態です。
言い換えれば、鋼にとっては強制された状態となります。
焼ならしは硬からず、軟らかからず、もって生まれた状態に戻すことです。
つまり焼いて標準状態（ノルマル）の鋼に戻すということです。
×新日鉄S55CNのカタログより
○http://www.noboru-steel.co.jp/S55CN090319.pdfより
山洞金物店のコメント：Normalizing鋼は、S55Cにとって、一番楽な状態なのね。
3．焼ならしの効果は？
鉄を圧延や鍛造などの加工をすると、加工や熱により組織の不均一や結晶の粗大化が発生します。
その結果、靭性が低下したり、残留応力が生じるんなどの影響が残ります。
「焼ならし」プロセスは、このような不均一な結晶粒を微細化させ、
機械的性質（靭性など）や機械加工性を向上させるとともに、
内部応力を取り除いて機械加工時の変形を軽減させることが狙いです。
×新日鉄S55CNのカタログより
○http://www.noboru-steel.co.jp/S55CN090319.pdfより
山洞金物店のコメント：この微妙な違いが出てくる仕事は、うらやましく思います。
4．特徴
・内部応力を除去し、加工後のひずみを低減
・組織の均一化、微細化により被削性向上
・快削性を考慮して、サルファー0.015%を狙いとした成分構成
×新日鉄S55CNのカタログより
○http://www.noboru-steel.co.jp/S55CN090319.pdfより
山洞金物店のコメント：サルファーは硫黄、硫黄は快削鋼に使う元素だ。微妙な表現だ。
5．用途例
・プリント基盤用金型
・金型用主型
・自動機、専用機用ベース
×新日鉄S55CNのカタログより
○http://www.noboru-steel.co.jp/S55CN090319.pdfより
山洞金物店のコメント：S55CNは、狂いが少ないと言うことか？
6．成分
| 成 分 | C | Si | Mn | P | S | Cr | Ni | Cu | Ni+Cr |
| 範囲 | 0.52/0.58 | 0.15/0.35 | 0.60/0.9 | 0.03以下 | 0.010/0.020 | 0.20以下 | 0.20以下 | 0.30以下 | 0.35以下 |
×新日鉄S55CNのカタログより
○http://www.noboru-steel.co.jp/S55CN090319.pdfより
山洞金物店のコメント：成分表見てもねー。この範囲に入れる技術が気になります。
7．ミクロ組織
×新日鉄S55CNのカタログより
○http://www.noboru-steel.co.jp/S55CN090319.pdfより
山洞金物店のコメント：同じ倍率とは思えない違いだ。
8．機械的性質
| 熱処理 | 温度 | 引張強度 | 耐力 | 伸び | ｼｬﾙﾋﾟｰ衝撃値 | 硬度 |
| N/mm2 | N/mm2 | ％ | J/ｃｍ2 | HB | ||
| 焼ならし | 800～850℃空冷 | 647以上 | 392以上 | 15以上 | – | 183～255 |
| 焼なまし | 約790℃炉冷 | – | – | – | – | 149～192 |
| 焼入れ・焼もどし | 800～850℃水冷 550～650℃急冷 |
780以上 | 588以上 | 14以上 | 59以上 | 229～285 |
×新日鉄S55CNのカタログより
○http://www.noboru-steel.co.jp/S55CN090319.pdfより
山洞金物店のコメント：焼きならしは、焼きなましより温度が高い。知りませんでした。
9．サイズ
| 名称 | サイズ |
| S50CN黒皮
または S55CN黒皮 |
平鋼 13mm×155mm×長さ
から 255mm×1220mm×長さ |
| S55C鍛造品 KPMAX |
平鋼 165mm×605mm
から 360mm×1010mm 大きいサイズは、切出しが多い |
見積取って、在庫と値段を確認してください。
販売記号：699T761